なかがわ・かおる…1974年京都市生まれ。同志社大学文学部文化学科美学及芸術学専攻卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程映像芸術専攻修了、同大学院芸術学研究科博士後期課程芸術専攻修了、博士(芸術学)。 池坊短期大学・福井工業大学で非常勤講師を務める。主な著書に共著『古写真で語る京都―映像資料の可能性―』(2004年、淡交社)。
関連書籍
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動物・植物写真と日本近代絵画
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体裁A5判・256頁
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刊行年月2012年01月
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ISBN978-4-7842-1598-0
著者・編者略歴
内容
今日の情報伝達には欠かせない映像メディア。しかし欧米諸国と比較して、わが国におけるその歴史的考察はいまだ不十分である。本書では、「明治後期から太平洋戦争以前の日本における動物・植物写真」を考察範囲とし、先行研究の少ないそれらの写真集の歴史にもスポットをあてて概説する。またその「動物・植物写真集」が、美術資料として担った役割を解き明かすことにより、近代日本の「写真」と「絵画」との関連性を論究する。とくに、本書で詳しく取り上げる京都出身の動物・植物写真家、岡本東洋(1891-1969)撮影の写真・写真集群や資料から、多彩な近代美術家たちと写真家との交流を浮き彫りにし、その関連性を鮮やかに導き出す。関連図版94点を掲載。
目次
第一章 日本の動物・植物写真集についての今日的な理解
第二章 初期の動物・植物写真集
一 西洋の動物・植物写真
二 明治期の日本の写真事情
三 日本最初の川井写真館による動物・植物写真集
四 学術資料への動物・植物写真の利用
五 初期の生態写真集
第三章 写真家岡本東洋
一 写真家になるまでの経緯
二 太平洋戦争以前の仕事
三 太平洋戦争以後の仕事
第四章 岡本東洋の動物・植物写真撮影
一 撮影の動機
二 対象としての動物・植物
三 撮影方法
第五章 岡本東洋の動物・植物写真集の考察
一 代表的な三種の写真集
二 『花鳥写真図鑑』
三 『東洋花鳥写真集』
四 『美術写真大成』
五 当時の岡本東洋の作品に対する評価
第六章 岡本東洋の写真と美術家の作品との関連性
一 美術家の写真利用法
二 岡本東洋の写真と画家の代表作との構図の類似性
終章
あとがき/挿図一覧/索引