日本庭園像の形成
定価
4,400 円(税込)
本体 4,000円
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著者・編者略歴

かたひら みゆき(本名:真鍋幸)……1971年生.ロンドン大学University College London修士課程修了(M.A. in Anthropology of Art),2004年総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻後期博士課程修了,学術博士.国際日本文化研究センター機関研究員を経て,現在,桃山学院大学国際教養学部准教授.専門は,一九世紀末から二〇世紀初頭の日本と西洋の文化の交流,日本文化研究.
〈主な論文〉「庭園をめぐる「わび」「さび」「幽玄」―一九三〇年代における「幽玄」を中心に」(岩井茂樹・鈴木貞美編『わび・さび・幽玄―「日本的なるものへの道程」』,水声社,2006年、449-482頁)

内容

「日本庭園」は西洋でどのように理解され、解釈されたのか、そして日本はそれに対してどのように反応したのか。
19世紀末から20世紀初頭の欧米人の日本庭園論、それへの日本人の反応、という両者の「往還」を丁寧にたどり、1930年代に至って日本庭園の「独自性」が規定されていく過程を追う。

目次

序章 「日本庭園」に注がれる西洋からの眼差しと日本側の応答
 1「日本庭園」の概念規定
 2 研究の対象
 3 本書の構成

第一章 ジョサイア・コンドルの日本庭園論
 1 はじめに
 2 コンドルの日本庭園論
    (1)ヨーロッパの庭園における「自然らしさ」の喪失
    (2)「型」と「型からの逸脱」―「理論」と「License」
    (3)思想性の不在―造形に対する理解とのタイム・ラグ
 3 コンドルの日本庭園論に対する国内の反応
 4 おわりに

第二章 日本の庭と欧米人の眼差し
 1 はじめに
 2 モースのみた日本の庭―「観察」に基づく生活文化のなかの庭
 3 ラファージの見た日本の庭―「日常性」と「装飾性」
 4 チェンバレンとハーンの日本の庭理解―コンドルとの関係性を通じて
    (1)日本の庭が何を表現するのかをめぐって
    (2)石の重要性について
    (3)庭にまつわる迷信や言い伝えについて
 5 おわりに

第三章 欧米における日本庭園像の形成と原田治郎のThe Gardens of Japan
 1 はじめに
 2 原田治郎の略歴
 3 原田治郎の日本庭園論
    (1)原田治郎の庭園論の特徴
    (2)原田治郎の参照枠―岡倉天心の茶の湯論
 4 原田治郎の画像の特徴―写真のなかの日本庭園
    (1)眼差しの変遷―コンドルの画像との比較
    (2)原田治郎の画面構成と広重の構図の比較試論
    (3)鹿苑寺(金閣寺)庭園と岡山後楽園の画像分析
 5 原田治郎の及ぼした影響―国外と国内のギャップ
 6 おわりに

第四章 庭園をめぐる一九三〇年代の言説空間
 1 はじめに
 2 明治期の庭園
 3 ジョサイア・コンドルと小川治兵衛
 4 庭園教育と研究環境の確立へ
 5 欧米からの眼差しへの「自覚」の芽生え ―予兆としての一九二〇年代
 6 「欧米人」には理解できない「日本庭園」―一九三〇年代へ
 7 アメリカン・ガーデン・クラブの来日
 8 「国際性」と「独自性」の相克
 9 おわりに

第五章 日本庭園像の形成 ――「独自性」と「芸術性」の確立へ
 1 はじめに
 2 日本庭園の理解をめぐって
 3 背景としての一九三〇年代
 4 一九三〇年代に形成される日本庭園像
    (1)鼓常良の日本庭園論 ―「東洋美学」からみる日本庭園の独自性
    (2)美学と造園学のあいだ―重森三玲
    (3)重森三玲の庭園論
    (4)造園学者たちによる西洋向けの日本庭園論
 5 おわりに
 
最終章 西洋における日本庭園論のパラダイム・シフト 
 1 西洋からの眼差しと日本側の応答
 2 西洋における日本庭園論のパラダイム・シフト
 3 日本庭園像のゆくえ
 4 おわりに


あとがき
挿図出典一覧

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