2012年度芸術選奨文部科学大臣新人賞
関連書籍
オカクラテンシンノヒカクブンカシテキケンキュウ
岡倉天心の比較文化史的研究
ボストンでの活動と芸術思想
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体裁A5判・548頁
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刊行年月2012年03月
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ISBN978-4-7842-1605-5
著者・編者略歴
しみず・えみこ…1962年、茨城県生。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。現在、お茶の水女子大学比較日本学教育研究センター客員研究員、茨城大学・国士舘大学・芝浦工業大学非常勤講師、茨城大学五浦美術文化研究所客員所員。
本書の業績により、平成24年度芸術選奨文部科学大臣新人賞(評論等部
門)を受賞。
内容
本書は、明治時代に美術分野で活躍した思想家、岡倉覚三(天心、1863~1913)の、特にそのボストンでの活動に焦点をあてて考察。
彼の生涯の活動に通底する思想や、ボストン社会で成そうとしていたことは、いかなるものだったのか。またボストンと日本における岡倉像を比較し、固定化され流布されている「岡倉天心」像を再検証。著者がアメリカで行った文献資料調査により、発見した新出資料などを駆使し、同時代の文化的状況、美術、演劇、音楽の動向など複眼的な視座からのアプローチを通して、より立体的な解釈を試みる。
目次
はじめに 比較文化史における岡倉覚三研究の視座
序 章 渡米前夜 ―欧米美術視察旅行と「自然発達論」
第1節 欧米美術視察旅行
第2節 鑑画会における演説
第3節 「自然発達論」の継続と発展
第1章 岡倉覚三のボストン・ネットワーク構築
第1節 世紀転換期におけるボストンの文化的位置
第2節 ボストン・ネットワークの形成
―モース、フェノロサ、ビゲロウ
第3節 岡倉とアメリカ人画家ジョン・ラ・ファージ
第4節 岡倉とイザベラ・スチュワート・ガードナー
第2章 ボストン美術館中国日本美術部経営
第1節 ボストン美術状況の俯瞰
第2節 経営理念の確立と展開
第3節 中国日本美術部の人的資源
第4節 経営理念の具体化と実践
第3章 オペラ台本『白狐』執筆への軌跡
第1節 岡倉と西洋音楽
第2節 未発表の英文著作と『白狐』との関連性
第3節 ボストンの音楽状況と『白狐』
第4節 音楽家レフラーと『白狐』
第4章 『白狐』に見る思想と方法論
第1節 岡倉の狐観と東西における狐像の比較
第2節 「母なるもの」の表象と観音のイメージ
第3節 『白狐』に内在する歌舞伎とヴァーグナー
第5章 ボストンにおける岡倉覚三の受容と表象
第1節 ボストンにおける岡倉追悼
第2節 フェンウェイ・コートの「中国室」と岡倉
終章 日米における岡倉像の比較
第1節 日本の追悼式における岡倉像
第2節 岡倉覚三と天心像のはざまに
おわりに 本論の総括と今後の課題
【資料】1883年 ジョン・L・ガードナーの日本旅行記
参考文献
索引(人名・事項)
紹介媒体
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『月刊美術』442号
2012年6月20日
Art Book 新刊案内
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『日本歴史』779号
2013年4月
岡本佳子(国際基督教大学アジア文化研究所準研究員)
書評と紹介
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「日本経済新聞」
2013年10月12日
宮川匡司
記事
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『比較文学』55巻
2013年3月31日
李京僖(漢陽大学校人文科学大学研究教授)
書評