日本図書館協会選定図書
第29回矢数医史学賞
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関連書籍
マエノリョウタク
前野良沢
生涯一日のごとく
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体裁B6判並製・334頁
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刊行年月2015年04月
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ISBN978-4-7842-1786-1
著者・編者略歴
とりい・ゆみこ・・・神奈川県鎌倉市生.上智大学大学院文学研究科史学専攻博士課程単位取得満期退学.オランダ・ライデン大学講師、九州大学講師を経て、現在は大分大学教育福祉科学部教授.
著書(共著も含む):『大槻玄沢の研究』『講談社オランダ語辞典』『開国と近代化』『九州の蘭学―越境と交流―』ほか
内容
解体新書の訳者として知られる江戸時代の蘭学者・前野良沢の評伝。これまで『解体新書』刊行を中心に論じられてきた良沢の生涯を、彼の著訳書や周辺資料から再検討し、新たな良沢像を構築する。巻頭に口絵写真、巻末に前野良沢年譜・主な参考文献を付す。
「おわりに」より――
『解体新書』の前野良沢というイメージは、明治期に、『南学事始』に触発された福沢諭吉や大槻玄沢の孫の啓蒙活動を通じて広まった。しかし、学究肌の良沢の最大の関心事は、医学ではなく、オランダ語学であり、文字・音韻・古語を考察し、辞書を徹底的に引き、より正確な翻訳をめざす。世間的な欲のうすい良沢ではあるが、ことオランダ語に関しては自信家・執着深い完壁主義者であった。語研究の成果は『解体新書』訳述グループや門人に伝えられ、大槻玄沢の『蘭学階梯』で世に広まった。良沢なしに『蘭学階梯』もありえなかったのである。蘭学の基礎であるオランダ語を車創期に普及させた功績も大きい。
目次
はじめに
第一章 徳川吉宗と青木昆陽
徳川吉宗とオランダ
青木昆陽のオランダ語学習
第二章 前野良沢― 出生から長崎遊学まで―
前野良沢の出生と家系
中津藩江戸屋敷と「医師」の格
オランダ語との出会い
明和六年の長崎遊学
長崎遊学の成果
第三章 『解体新書』
杉田玄白と「ターヘル・アナトミア」
翻訳開始とその方法
良沢のオランダ語指導
『解体新書』完成へ
良沢にとっての『解体新書』
第四章 安永・天明時代の良沢
『解体新書』後の玄白と良沢
安永時代の著訳書
大槻玄沢との出会い
天明時代の良沢の著訳書
第五章 ロシア研究の時代と良沢
ロシアの南下
幕府の北方政策
良沢のロシア研究― 「柬砂葛記」「柬察加志」―
寛政初年の良沢
「魯西亜本紀」と「魯西亜大統略記」
第六章 良沢の晩年
江馬蘭斎の入門
芝蘭堂「新元会」と良沢
晩年の日常生活
奥平昌高と良沢
天文方との交流
良沢の死
第七章 没後の評価
江戸後期~幕末の評価
明治期の顕彰活動と贈位
蘭学(洋学)史の大綱
良沢の肖像と遺墨について
おわりに
前野良沢年譜
主な参考文献
紹介媒体
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『洋学史通信』25号
2015年12月18日
青木歳幸
新刊紹介
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『日本医史学雑誌』62巻1号
2016年3月20日
書籍紹介