すぎもと・ひろゆき… 1975年12月 広島県福山市生
大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学・大阪大学)
日本学術振興会特別研究員、龍谷大学非常勤講師を経て、現在、京都工芸繊維大学・佛教大学・立命館大学非常勤講師
関連書籍
キンダイニホントシシャカイセイサクトマイノリティ
近代日本の都市社会政策とマイノリティ
歴史都市の社会史
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体裁A5判上製・412頁
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刊行年月2015年03月
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ISBN978-4-7842-1789-2
著者・編者略歴
内容
近代日本の社会政策・社会福祉の受益者である社会的マイノリティはどのように政策形成に関与しようとし、政策に包摂されていったのか。蔓延する貧困と格差への対応を模索し続けている現代社会に、政策の受益者の動向から再構成した社会政策史・社会福祉史の実証研究を提示する一書。
これまで分野史ごとに行われてきた「貧困者」「労働者」への社会政策・社会福祉史研究の動向を打破し、「都市下層社会」を形成したマイノリティに対する政策的対応を統一した視点で論じる。
目次
序 章 課題と方法
戦前期都市社会政策の構造分析をめぐって/不良住宅地区・被差別部落・在日朝鮮人/都市社会政策とマイノリティ
第1部 都市社会行政の形成と展開
第1章 都市社会行政機構の形成
京都市社会事業行政機構の成立/京都府社会事業行政機構の成立/府・市社会事業行政の相克
第2章 府県社会行政と都市社会行政の関係構造―財団法人京都共済会を事例に―
京都府社会事業行政機構の形成と財団法人京都共済会の成立/京都府社会事業行政による社会事業施設の設置過程/京都府社会事業行政の政策形成をめぐって/大谷・海野辞職後の京都府社会事業行政の展開
第3章 都市社会事業施設の運営と市政・地域社会―京都市児童院を事例に―
京都市児童院の組織・制度・運営/京都市児童院への社会的反応と「格差」/戦時体制下の児童院運営
第4章 都市社会行政職員の役割・特質・機能
京都市社会課調査の開始/『京都市社会課調査報告』の発刊と情報発信/京都市社会課における社会調査体制
第5章 失業救済事業と市政・地域社会
「冬期失業救済事業」の開始と「登録労働者」/「冬期失業救済事業」期における「登録労働者」の実態/恒常的失業救済事業の成立と事業への批判/失業救済事業と「登録労働者」の騒擾/循環労働制の採用と「登録労働者」の動向/戦時体制と失業救済事業の廃止
第2部 都市社会政策と社会的マイノリティ
第6章 「不良住宅地区」と地域住民の変容
京都市社会行政の地域認識/1920年代の「不良住宅地区」楽只地区/1930年代における楽只地区の変容過程/朝鮮人非集住地区の変容過程―1920~30年代―/在日朝鮮人「リーダー層」の成長と地域秩序への参入
第7章 在日朝鮮人女性の自主的救済事業と「内鮮融和」―「親日派新女性」金朴春の思想と行動―
「京都朝鮮人労働共済会」と「朝鮮職業婦人救済会」の成立と展開/大阪移住と「朝鮮職業婦人救済会」
第8章 都市社会政策と「内鮮融和団体」の形成と変容
自主的救済団体の形成と展開/「京都協助会」の成立と崩壊
第9章 都市社会政策の再編成と市政・地域社会
都市社会行政批判と社会事業運営の実態/崇仁隣保館の事業運営と地域社会/地域社会秩序の崩壊と再編
第10章 不良住宅地区改良事業の形成と変質
「不良住宅地区改良法」の性格と特質/京都市における改良事業計画の展開/不良住宅地区改良事業の変質過程
第11章 1940~60年代の都市社会政策と地域住民組織
戦時体制期の都市社会政策/戦後都市社会政策体制の再構築/地域住民組織と部落解放運動
終 章 総括と課題
本書の要旨/本書の意義と課題
あとがき
索引
紹介媒体
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『大原社会問題研究所雑誌』694号
2016年8月
中嶋久人
書評と紹介
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『京都部落問題研究資料センター通信』39号
2015年4月25日
田中和男(龍谷大学非常勤講師)
紹介
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「京都民報」
2015年7月26日
生駒佳也
紹介
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『日本史研究』637号
2015年9月
高野昭雄
書評
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『ヒストリア』253号
2015年12月
佐々木拓哉
書評
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『日本歴史』814号
2016年3月
町田祐一
書評と紹介
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『民衆史研究』91号
2016年7月
藤田貴士
書評
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『歴史と経済』234号
2017年1月
布川弘
書評
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『社会経済史学』83巻2号
2017年8月
山口由等
書評
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『燎原』221号
2015年11月25日
紹介「BOOK」
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『歴史学研究』NO.973
2018年8月15日
中村元
書評