平安初期から院政期にかけて、みずからがもつ知識と財力によって理想的世界を実現する義務を負っている「賢者」としてふるまい、人々を悟りへと導こうとした文人貴族や摂関家の有力者、天皇・上皇がいた。一方、中世初期には、人は仏の誓願の力によってしか救われない存在であると気づき、自らは「愚者」であると自覚した法然とその周辺の人々があらわれた。
過去の「賢者」と「愚者」がそれぞれに構想していった理想世界を、彼らの誓いの言葉を通して追うことで、日本浄土思想史に新たな知見を示す。
【担当編集者より】
なんと言っても書名がいいです。
『平安期の願文と仏教的世界観』につづく、著者の2冊目の論集です。本書でも、史料としっかりと向き合い、菅原道真や法然ら過去の人々のことばに耳を傾ける姿勢は変わりません。
漢詩や願文などといった難解な史料が多いにもかかわらず、原則として引用文は書き下し、多くのルビを振っていただきました。書名に負けない力作。ぜひご一読ください。
定価
7,150 円(税込)
本体 6,500円
在庫状況:
在庫あり
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7,150 円(税込)
本体 6,500円
在庫状況:
在庫あり
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体裁A5判上製・272頁
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刊行年月2019年05月
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ISBN978-4-7842-1958-2
内容
目次
緒言
【第Ⅰ部 賢者の王国】
第一章 菅原道真の仏教信仰
第二章 「狂言綺語は讃仏乗の因とす」―勧学会とは何だったのか
第三章 院政―天皇と文人貴族たち
【第Ⅱ部 愚者の浄土】
第一章 愚かであること―貞慶の「舎利講式」と「愚迷発心集」
第二章 愚かであること―法然の語り
第三章 法然の継承者たち
あとがき
紹介媒体
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『日本歴史』5月号(第864号)
2020年5月1日
手島崇裕
書評と紹介
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『史学雑誌』第129編第4号
2020年4月20日
佐伯憲洋
新刊紹介