平成24年度茶道文化学術奨励賞(主催 大日本茶道学会)
関連書籍
チャノユトオンガク
茶の湯と音楽
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体裁A5判上製・376頁
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刊行年月2012年06月
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ISBN978-4-7842-1606-2 C3076
著者・編者略歴
おかもと・あやね…島根県奥出雲生まれ。愛知県立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業。演奏活動およびコーラスなどの音楽指導のかたわら、裏千家学園茶道専門学校研究科を経て、宝塚造形芸術大学(現:宝塚大学)大学院博士後期課程修了。博士(芸術学)。現在、高野山大学客員教授。
内容
茶の湯の美的価値観や性格は、これまで現存する道具や茶室、道具名物記や描かれた茶室の図面など、形として残されたものの考証から論じられてきた。だが、本書では形としては残され得ない「音楽」という視角から、その論考を試みるものである。室町時代後期の草創期から江戸時代初期の千利休による大成という、茶の湯が発展・拡大へと向かう時期の文献をひもときつつ、「音楽」の世界をとおしてみえる茶の湯の美意識を、大きく能楽(第1章)、「峯すり」(第2章)、茶の湯の釜の煮え音「五音ノ湯アヒ」(第3章)、茶の湯空間における音(第4章)という4つのトピックから明らかにする。
目次
序 章 茶の湯の音楽―音楽という用語とその概念―
一 中国における「音楽」
二 古代日本における「音楽」
三 平安期における「音楽」
四 中世・近世における「音楽」
五 西洋における「音楽」
六 明治以降における「音楽」
七 今日の「音楽」
第一章 茶の湯と能楽―茶会記に登場する能楽者たち―
一 観世
二 金春
三 宮王
四 大蔵
五 金剛
六 高安
七 一噌
八 森田
九 下間
十 そのほかの手猿楽者
第二章 「峯すり」考―『南方録』における「峯すり」の表現するズレの考察―
一 曲尺割(かねわり)
二 絵図のなかのスリ
三 文中のスリ
四 鉾ハツシ
五 音楽の拍子
六 背景としての音楽素養
七 拍子ニ合
第三章 「五音ノ湯アヒ」考―茶の湯の釜の煮え音をめぐって―
(1)『南方録』における火相と湯相による茶の湯論
一 五月雨ノコロ
二 茶ト湯ノ相應
三 初座ノ火アヒ・後座ノ湯アヒ
四 ノベチヾメ
五 三炭ノ大秘事
六 四つの逸話
七 茶ノ気と湯アヒ
八 深〃ノ道理
九 火相と湯相
(2)五音ノ湯アヒ
一 先行研究
二 『南方録』における「五音ノ湯アヒ」
三 茶の湯の釜の煮え音の系譜
四 御釜ノニエ音
第四章 茶の湯の音楽―『日本教会史』における「市中の山居」を糸口にして―
一 市中の山居
二 沈黙の音楽
三 静寂の音楽
あとがき
索引(人名・事項・書名)
紹介媒体
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「読売新聞」朝刊
2013年8月1日
塩崎淳一郎(文化部)
顔(総合面記事)
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「茶華道ニュース」
2013年8月1日
1面記事