日本図書館協会選定図書
第10回林屋辰三郎藝能史研究奨励賞受賞
関連書籍
チュウセイコウキノコウブンカ
中世後期の香文化
香道の黎明
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体裁A5判上製・426頁
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刊行年月2014年04月
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ISBN978-4-7842-1733-5
著者・編者略歴
ほんま・ようこ・・・群馬県生.武蔵大学大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得退学.博士(人文学).臭気判定士.
現在、武蔵大学総合研究所研究員
主要論文「『香道の祖』三條西実隆についての再検討」(『武蔵大学大学院人文科学研究科論集』創刊号 2001年3月)
「蘭奢待の贈答経路」(『服飾文化学会誌』Vol,1№1 2001年3月)
「源氏香試論」(『武蔵文化論叢』第六号 2006年6月)
「『お湯殿の上の日記』にみられる薫物・匂い袋下賜―後土御門天皇期から霊元天皇期―」(『武蔵大学総合研究所紀要』第一六号 2007年6月)
「中世後期香文化拾遺考」(『武蔵大学総合研究所紀要』第一八号 2009年6月)
内容
本書では、香(こう)を炷き鑑賞する催しである香会と香木・薫物の贈答を香文化として捉え、香道の発生期の一次史料を基に、「香道の祖」とされる三條西実隆や「香道志野流の祖」志野宗信と香との関係の再検討、「香会」の具体的内容についての考察、天皇への香木献上や天皇からの薫物・匂い袋の下賜を数量的かつ具体的に考察する三視点から、中世後期の香文化を解明する。香道について初めての実証的な歴史的研究。
目次
序 章
第一章 「香道の祖」三條西実隆についての再検討
第一節 禁中の香会
第二節 実隆邸の香会と宗祇
第三節 香木・薫物の贈答
(1)実隆への香木の贈答
(2)実隆への薫物の贈答
(3)実隆への焼香・線香の贈答
(4)実隆への薫衣香の贈答
(5)実隆への追儺香の贈答
第四節 三條宗家の薫物調合
第二章 「香道志野流の祖」志野宗信についての再検討
第一節 土倉「志野」
第二節 酒屋「志野」―戦国期『押小路家文書』から―
第三節 伝書・記録の中の「志野」―『名香合』・『室町殿行幸御飾記』・『山上宗二記』―
(1)『名香合』の「志野」
(2)『室町殿行幸御飾記』と「志野」
(3)『山上宗二記』の「志野」
第三章 応仁の乱後の禁中香会―『お湯殿の上の日記』にみられる香会記事―
第一節 後土御門天皇期
第二節 後奈良天皇期
第三節 正親町天皇期
第四節 後陽成天皇期
第五節 後水尾天皇期
第四章 禁中香会にみられる組香の形態―十炷香と系図香―
第一節 十炷香の方法―有試十炷香・無試十炷香―
(1)十炷香記録の検討
(2)有試十炷香専用香札の存在
第二節 系図香の方法
(1)多種の系図香の実践記事
(2)多種の系図香図の存在
(3)香木の準備方法
第五章 源氏香の誕生
第一節 「源氏香」の名称の登場―近衛政家の日記―
第二節 「香図」に『源氏』の名を付ける―近衛尚通と細川高国―
第三節 近衛尚通が名付けた「香図」銘の可能性
第六章 天皇に対する香木の献上―『お湯殿の上の日記』から―
第一節 後土御門天皇期
第二節 後奈良天皇期
第三節 正親町天皇期
第四節 後陽成天皇期
第五節 霊元天皇期
第七章 蘭奢待の献上と下賜
第一節 蘭奢待献上―『実隆公記』から―
(1)蘭奢待の名―「公惠僧正書状」からー
(2)後土御門天皇への蘭奢待献上
第二節 蘭奢待下賜―『お湯殿の上の日記』・『後奈良天皇宸記』から―
(1)畠山義総への蘭奢待下賜
(2)畠山義総へ再度の蘭奢待下賜
第三節 蘭奢待贈答・献上・下賜―『言継卿記』・『言経卿記』から―
(1)山科言継から古河治部少輔光家へ
(2)織田信長から正親町天皇へ
(3)後奈良天皇・正親町天皇から山科家へ、山科言経から徳川家康へ
第八章 天皇からの薫物・匂い袋下賜―『お湯殿の上の日記』から―
第一節 後土御門天皇期
(1)後土御門天皇の薫物下賜
(2)後土御門天皇の匂い袋下賜
第二節 後奈良天皇期
(1)後奈良天皇の薫物下賜
(2)後奈良天皇の匂い袋下賜
第三節 正親町天皇期
(1)正親町天皇の薫物下賜
(2)正親町天皇の匂い袋下賜
第四節 後陽成天皇期
(1)後陽成天皇の薫物下賜
(2)後陽成天皇の匂い袋下賜
第五節 後水尾天皇期
(1)後水尾天皇の薫物下賜
(2)後水尾天皇の匂い袋下賜
第六節 霊元天皇期
(1)霊元天皇の薫物下賜
(2)霊元天皇の匂い袋下賜
第九章 中世後期の香道具・灰
第一節 聞香炉
第二節 灰・炭団
第三節 火道具・銀葉
結 章
初出一覧/あとがき/索引(人名・事項)
紹介媒体
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『AROMA RESEARCH』No.61
2015年2月28日
Book Review
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『芸能史研究』211号
2015年10月
五島邦治
書評