変容する聖地 伊勢
定価
3,080 円(税込)
本体 2,800円
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内容

  不変の聖地か/変容する聖地か―
 第六二回式年遷宮が行われた平成25年(2013)、伊勢神宮にはじつに900万人に上る参詣者が訪れたという。まさに21世紀の国民的 「聖地」といえるだろう。
 今日、伊勢神宮は古代から変わることなく受け継がれてきた聖域というイメージで語られる。しかし、その神宮像はそれほど時代をさかのぼるものではなく、神宮が移りかわる時代のなかで大きく変貌を遂げてきたことはあまり語られていない。
 本書は国内外の一線の研究者による古代から近・現代にわたる論考16編を収め、伊勢神宮の変容の歴史をひもとく。

■担当編集者より■
日本人の「心のふるさと」といわれ、全国から多数の参拝者を集める伊勢神宮。その歴史は、古代からの「不変」性が強調されます。
たとえば式年遷宮はしばしば、「“室町時代の一時期をのぞいて”1300年ものあいだ繰り返されてきた」と説明されます。
ところがこの「一時期」というのはじつは150年にもわたるのです。つまり、中断をへて再び式年遷宮が行われたさい、前回の儀式を直接見た人は誰もいなかったということになります。
とすると、再開された式年遷宮は復活というよりも、むしろ創造ではないのか、という議論が生じます(本書西山論文)。

――そもそも、長い歴史のなかで変わらない聖地など存在するのだろうか?
本書はそんな疑問に正面から学問的に応えるはじめての試みです。

末法の世の到来に不安を抱く伊勢の人びとと仏教の濃密な関わり、明治維新にともなう仏教色の一掃……、これまで十分に語られて来なかった伊勢神宮のドラスティックな変容の歴史が明らかになります。

わたしは「変容」にこそ、歴史のおもしろみがあると思います。タモリさんのあの番組よりもさらに深い伊勢の歴史をのぞいてみませんか?

目次

序章 伊勢神宮―変容の歴史― ジョン・ブリーン(国際日本文化研究センター教授)

 Ⅰ 古代 
考古学からみた伊勢神宮の起源―ヤマト王権の伊勢支配― 山中 章(三重大学名誉教授)

伊勢に見え隠れする仏教 七六六~七八〇  ヘルマン・オームス(カリフォルニア大学ロサンゼルス校歴史学部名誉教授)

『延喜式』制以前の伊勢神宮―八~九世紀の内宮と外宮をめぐって― 小倉慈司(国立歴史民俗博物館准教授)


 Ⅱ 中世 
中世伊勢と仏教 ウィリアム・M・ボディフォード(カリフォルニア大学ロサンゼルス校宗教学部教授)

夢告と観想―鎌倉時代における僧たちの伊勢参宮― 伊藤 聡(茨城大学人文学部教授)

地中の仏教―伊勢神宮の地下からの眺望― D・マックス・モーマン(コロンビア大学バーナードカレッジ アジア文化学科教授)

混沌の始めを守る―度会行忠の混沌論と徳政― マーク・テーウェン(オスロ大学文化研究・東洋語学部教授)


 Ⅲ 近世 
復活か創造か―天正一三年の神宮式年遷宮をめぐって― 西山 克(関西学院大学文学部教授)

読み替えられた伊勢神宮―出口延佳、本居宣長を中心に― 斎藤英喜(佛教大学歴史学部教授)

御蔭参りにおけるお札降り現象―近世庶民の伊勢信仰の一側面―  劉 琳琳(北京大学外国語学院日本語学部准教授)


 Ⅳ 近代~現代 
伊勢における神仏分離 河野 訓(皇學館大学副学長)

神苑会の活動と明治の宇治山田 谷口裕信(皇學館大学文学部准教授)

修学旅行と伊勢 高木博志(京都大学人文科学研究所教授)

昭和四年式年遷宮と伊勢 田浦雅徳(皇學館大学文学部教授)

戦後の伊勢―プリント・メディアにみる神宮と式年遷宮― ジョン・ブリーン

補論
浮遊する記号としての「伊勢」―日本史における伊勢神宮の多重性と神道の絶えざる再コード化―  ファビオ・ランベッリ(カリフォルニア大学サンタバーバラ校宗教学科教授)


あとがき
索引
執筆者紹介

関連リンク

斎藤英喜の「ぶらぶら」日記

<Ⅲ近世>の執筆者・斎藤英喜先生のブログより

紹介媒体

  • 「朝日新聞 be」

    2016年6月18日

    紹介

  • 「読売新聞」

    2016年7月3日

    月本昭男

    書評欄

  • 「Hine-mos」(ブログ)

    2016年8月9日

    書評http://blog.livedoor.jp/moyoko0629/archives/51958112.html

  • 「世界日報」

    2016年8月28日

    高嶋久

    紹介(9面 読書欄)

  • 「中外日報 悠ゆう楽々」

    2016年8月26日

    紹介

  • 「伊勢新聞」

    2017年8月13日

    奥山隆也

    書評(9面「書評 三重の本」)

  • 『宗教研究』91巻3号

    2017年12月

    板井正斉

    書評と紹介

  • 『日本史研究』663号

    2017年11月

    山田雄司

    書評

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