万国博覧会と人間の歴史
定価
10,120 円(税込)
本体 9,200円
在庫状況: 品切

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日本図書館協会選定図書
書籍外装に傷みがございます。予めご了承ください。

本書の韓国語版がSomyong Publishing Co.から出版されました。原書執筆者のユク・ヨンス先生が監訳者として関わられています。

内容

  万博から、人間の歴史が見える!
 万国博覧会。それは、1851年のロンドンで始まり、今日まで連綿と続いてきた。
 1970年大阪万博が日本社会に一時代を画した例をひくまでもなく、近代以降の人間社会のあゆみを語る上で、万国博覧会は決して見過ごすことのできない対象である。多くの人びとを魅了する万博には厚い研究蓄積があるが、自国への関心の集中、現場の視点の欠如など、偏りもあった。
 本書は従来の研究の枠組みを超え、多様な領域の研究者のほか、万博をつくり、支える立場の政府関係者、業界関係者が集い、さらにアジア各国の研究者を迎えて、ともに議論を重ねた共同研究の成果である。 

■担当編集者より■
万博の時代は終わった――。
 そういわれて久しいですが、情報もモノもあふれた現在でも、「ばんぱく」という響きが持つどこか楽しげな雰囲気、ただよう期待感は色あせていないとわたしは思います。
 第一回のロンドン万博以来、万博は今日まで我々の歴史とともに歩んできました。本書はその事実を受け止めて、万博と人間の諸関係をさまざまな立場の専門家が分析します。国家の威信とか、政治とか、経済とか、研究の切り口はたくさんありますが、なによりもわたしの印象に残ったのは、万博というイベントが人びとの人生に与える影響力の大きさです。
 歴史的な考察だけでなく、万博を作り、運営する立場からの発言が含まれているところは本書のユニーク点として強調したいと思います。万博は誰がどうやって作っているのか、という素朴な疑問の答えは、万博研究者のあいだでも意外と知られていなかったようです。
 万博の時代は終わったのか? 答えを出すのは、21世紀の万博研究の金字塔といってもよい本書を読んでからでも遅くはありません。

目次


はじめに―本書について―(佐野真由子)

  Ⅰ 博覧会の人
万博の人、ラザフォード・オールコック(佐野真由子)
―1851、1862、1878、1886―

岩倉使節団の見たウィーンとウィーン万博(芳賀 徹)

1878年パリ万国博覧会における前田正名の役割(寺本敬子)
―ジャポニスム流行の立役者―

「隠者の国」朝鮮士大夫のアメリカ文明見聞録(ユク・ヨンス)
―出品事務大員鄭敬源と1893年シカゴ・コロンビア万国博覧会―

並河靖之と万国博覧会(武藤夕佳里)
―並河七宝と巴里庭をめぐる人びと―

建築家劉既漂と中国における「新建築」の誕生(青木信夫)
―パリ万博から西湖博覧会へ―

万国博覧会と藤田嗣治(林 洋子)
―1900年パリ、1937年パリ、そして1940年東京―


  Ⅱ 博覧会の場所
景福宮から朝鮮博覧会場への空間変貌 (ウィーベ・カウテルト)

幻の博覧都市計画 (増山一成)
―東京月島・日本万国博覧会―

中空構造で解く千里ニュータウンと大阪万博(中牧弘允)

南紀熊野体験博と熊野の表象(神田孝治)

  
  Ⅲ 博覧会と仕事・社会
資料から見るランカイ屋と装飾業の歴史(石川敦子)

コンパニオンが女看守とよばれたころ (井上章一)
―博覧会場における女性接遇員の成立と展開―

博覧と衆智 (瀧井一博)
―渡辺洪基と萬年会の目指したもの―

万国博覧会を飾った日本の革と紙(鵜飼敦子)
―ジャポニスムを越えて―

都市の電化と博覧会(橋爪紳也)

愛知万博前夜 (澤田裕二)
―博覧会の企画制作現場から―

上海万博・麗水万博日本館から見た日本の博覧会行政 (岩田 泰)


  Ⅳ 博覧会の形成と展開
近代パリ万物博の軌跡 1855~1900(市川文彦)
―その〈万有理念〉が顕すもの―

万国博覧会とオスマン帝国(ジラルデッリ青木美由紀)
―「美術」とオスマン宮廷の日本趣味受容―

オリエンタリズムとナショナリズム(徐 蘇斌)
―中国の万国博覧会参加をめぐる権力の変容―

南洋勧業会をめぐる日中関係(武藤秀太郎)
―上海万博との対比から―

戦後日本が夢見た世界(川口幸也)
―万国博美術展、原始美術、太陽の塔―

都市化をテーマとした上海万博(江原規由)
―万博をめぐる中国の過去と未来―

中国における博覧会ブームの誕生(曹 建南)


おわりに/研究会の記録/執筆者紹介

紹介媒体

  • 「朝日新聞」

    2015年11月15日

    紹介

  • 「読売新聞」

    2016年1月17日

    牧原出

    紹介

  • 「週刊読書人」

    2016年2月5日

    サラ・デュルト

    紹介

  • 「読売新聞」

    2016年3月30日

    記事

  • 「読売新聞」

    2016年7月10日

    記事

  • 「東京新聞」

    2016年10月8日

    記事

  • 『西洋史学』262号

    2016年12月

    橋本順光

    書評

  • ABCラジオ

    2017年5月20日

    「人類の進歩と調和」を作り出した男たち

    紹介

  • 『社会経済史学』83巻2号

    2017年8月

    重富公生

    書評

  • NIHU magazine(人間文化研究機構発行) vol.030

    2018年11月20日

    編者インタビュー・本の紹介

  • 「京都新聞」社会(30面)

    2018年11月25日

    記事「編者インタビュー」

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