近代日本高等教育体制の黎明
定価
7,700 円(税込)
本体 7,000円
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近代日本高等教育体制の黎明

交錯する地域と国とキリスト教界

田中智子 著

  • 体裁
    A5判・448頁
  • 刊行年月
    2012年03月
  • ISBN
    978-4-7842-1618-5

著者・編者略歴

たなか・ともこ…京都大学文学部史学科卒業,京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学(日本史学専攻),京都大学博士(文学).現在,同志社大学人文科学研究所助教.

内容

医学、洋学一般を教育する場がいかに設置・運営されてきたか。主に1870年代初頭から1890年代初頭までを対象とし、各地域の高等教育体制の展開過程を、府県という地域行政主体、文部省という国の行政主体、伝道を志すキリスト教界、という三勢力の交錯のうちに描く。高等教育史を府県・国・民間勢力の相互関係史として再構成する一書。

目次

序―未分化時代の地域的力学


第Ⅰ部 キリスト教勢力の出現―地域史としての宣教史―

第一章 神戸における近代医療の揺籃とJ・C・ベリー来港
兵庫県病院―地方行政府と医療/国際病院―居留民と医療/ベリーの医療伝道活動

第二章 医療宣教師ベリーと兵庫・飾磨県の行政・社会
兵庫県下での医療伝道/飾磨県下での医療伝道/県医療行政の展開と医療伝道のゆくえ

第三章 岡山県における医学・洋学教育体制の形成とアメリカン・ボード
岡山県による医学・洋学教育の開始/岡山県とアメリカン・ボードの邂逅/岡山県下でのアメリカン・ボードの活動/岡山県とアメリカン・ボードの分離

第四章 京都府下の医学教育態勢と新島襄の医学校設立構想
京都府下の医学教育/京都府会における府医学校存廃論議/京都民立医学社計画

第五章 大阪官立学校とキリスト教
アメリカン・ボードとお雇い外国人教師/「阪神バンド」の活動と教員・生徒/大阪中学校の発足とその影響


第Ⅱ部 文部省の学校の登場―地域史としての官立学校史―
第六章 第三高等中学校設置問題再考―京都府における「官立学校」の成立―
第三高等中学校発足以前の状況/第三高等中学校の移転と京都府会/府県連合委員会の開催とその帰結

第七章 高等中学校医学部時代の到来―岡山県における「官立学校」の成立―
一八八〇年代前半における府県医学校/岡山県における教育体制再編構想/第三高等中学校医学部の設置過程/地域医学教育体制の再編

補 章  官立学校誘致現象の生成と変容―京都と大阪の教育戦略―
はじめての経験―高等中学校設置問題/ライバル出現―官立工業学校設置問題/消えない過去―第三高等学校大学予科設置問題/新たな動機―京都帝国大学医科大学設置問題

第八章 府県連合学校構想史試論― 一八八〇年代における医学教育体制の再編―
地域における医学校改革構想/地域における府県連合会/文部省の制度改革/高等中学校制度

第九章 「官立学校」概念の輪郭 ―「准官立」問題と同志社―
「官立」の登場/「官立」 の動揺/「准官立」の生成/「准官立」の構造化

終 章  諸学校令下の高等教育体制再編―東華学校(=半県半民・同志社分校)の射程―
私立英学校の創設と運営体制/新中学校制度への対応/経営方法の模索と閉校

結―これからの研究に向けて

初出一覧/あとがき/索引(人名・事項)

紹介媒体

  • 「同志社タイムス」第676号

    2012年4月15日

  • 『日本史研究』第609号

    2013年5月

    吉川卓治

    書評

  • 『日本医史学雑誌』第59巻第3号

    2013年9月20日

    書籍紹介

  • 『日本の教育史学』第56集

    2013年10月1日

    荒井明夫

    書評

  • 『歴史学研究』927号

    2015年1月

    駒込武

    書評

  • 『科学史研究』No.272

    2015年1月

    藤本大士

    紹介

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